序章 なぜ煙草をやめるのか。

吸わない人の前で気を使いながら吸うのが嫌になった。自分の吐く煙、手元の煙草から立ち上る煙がどこへ行くのか？ それはなぜか煙草が嫌いな人のほうに流れてゆく。そんなこと考えながら吸ってもおいしくないと思い始めたら嫌になった。

でも苦しいのは嫌だ。我慢するのも嫌だ。まるで自分勝手が意志薄弱という衣を羽織って歩いているようなのが、まさに私なのである。何とかいい方法はないものかと思っていたときにファイザーから新薬が出た。

臆病でもある私は出たばかりのものには飛びつかない。それが世に広まり、ネットで簡単に体験者の生の声が聞けるようになるまで待った。そして時が来た。

そんな理由で禁煙外来の玄関を叩いた私が、どういう風になるのかを記録して行こうと思う。